水垢を強力に落とす洗剤は怖い

ここ数年でスケール除去剤が様々なメーカーから販売されるようになり、一般的に使用されるようになりました。水垢やスケール汚れ等に頭を悩ませていた方にとって、研磨以外の方法で車のボディーを綺麗にすることができる製品は重宝しているかもしれません。

しかし水垢を強力に落とす製品はフッ酸やフッ化アンモニウム等のフッ化物が含まれていることをご存じでしょうか?フッ化物系の洗剤は①「人体への悪影響」と、②「車への悪影響」の両方を考慮しなければなりません。
まず①人体への悪影響ですが、皮膚が弱い方でなくても肌に痛みを感じ、腫れたり炎症をおこしたりします。また、皮膚から体内に浸透し、血液中を巡り、骨と結合(フッ化カルシウムになる)してしまいます。簡単に言えば骨を侵すという恐ろしい物質なのです。低カルシウム血症や低マグネシウム血症も引き起こす原因になります。その為、使用の際には比較的厚手のゴム手袋を着用するのは必須です!また、気化したフッ化物を吸い込むことも人体に有害ですので防毒マスクや保護メガネも着用してください。
次に②車へのダメージについてです。フッ化物は塗装面に塗っても良いのですが、ガラス面やメッキ部分、金属(ホイールも含む)を腐食させるという性質があります。ですからその部分に洗剤がかからないようにしなければなりません。さらに、すすぎをかなり念入りに、しかも手早くしなければなりません。これが意外と難しく、素人の方はここで失敗することが多いようです。普通に高圧洗浄機でざっと流した程度では不十分なのです。必要なのは「水圧」ではなく「水量」です。大量の水をかけ、素早く洗剤を地面に落とす必要があります。原始的な方法ですが2個の大きなバケツに水を溜め、2人がかりで一気にバシャっとかける方法が良いです。

ではすすぎが不十分な場合どうなるのでしょうか?すぐには違いが分からないかもしれませんが数日後に変化が現れます。実際に写真で見てみましょう。

拡大して見てみますとメッキ部分が微妙に腐食(酸焼け)しているのがお分かりいただけるでしょうか?
これはすすぎが不十分で、少量の洗剤の成分が残り、その後水が蒸発した後ゆっくりと腐食してしまった例です。このお車の所有者様は洗車後の拭き上げも念入りに行い、ブロアーで隙間に残った水分も飛ばしていたにもかかわらずこのようになっていました。やはり、すすぎが1回ではこのようになってしまいます。私はスケール除去剤を使用する場合は、すすぎを最低でも3回は行います。(水、シャンプー、水)

いかがだったでしょうか?フッ化物系のスケール除去剤の恐ろしさを少しでもお伝えできればうれしく思います。注意点を守って使用する分には過度に恐れなくても良いのですが、基本的には「プロ向け」の製品とお考えいただいた方が良いかと思います。

フッ化物を含まなくても水垢に効く製品はありますので(リンレイの水垢スポットクリーナー等)そうした安心して使用できるものから使い始めるのが無難ではないでしょうか?水垢スポットクリーナーは洗浄力は弱いですが、1週間放置した程度の軽い水垢を落とすぐらいのパワーはあります。

フッ化物が含めれている製品とそうでない物の見分け方ですが、注意書きに「ガラスや金属を変色させる」という記載がありましたらフッ化物が入っています。製品選びの際には裏面をよくご覧になりご購入ください。